8月の給料明細に、見慣れない行がありました。
「補助金」。
それだけ書いてあります。
56,300円。
金額は分かる。
でも、何のお金なのかが分からない。

私は北海道の釧路で、デイサービスで働いています。
介護職員と生活相談員の兼務です。
この仕事に入ったのが2014年6月。
相談員になったのが2020年4月。
今年で52歳になりました。
ニュースでは「介護報酬が2.03%上がる」と言っていました。
2026年6月からだそうです。
で、私の給料は上がったんでしょうか。
明細を見ても、正直、見分けがつきませんでした。
だから、並べてみることにしました。
今年の1月から8月まで、8か月分の処遇改善手当です。
総額や基本給は出しません。
増えた分だけの話です。
8か月分、並べてみました

| 支給月 | 処遇改善手当 | 備考 |
|---|---|---|
| 1月 | 42,100円 | |
| 2月 | 43,120円 | 上半期でいちばん高い |
| 3月 | 38,900円 | 上半期でいちばん低い |
| 4月 | 41,200円 | |
| 5月 | 39,300円 | |
| 6月 | 41,000円 | |
| 7月 | 46,800円 | |
| 8月 | 51,400円 | 別枠で補助金56,300円 |
1〜6月の平均は40,936.7円でした。
いちばん高い2月と、いちばん低い3月の差は4,220円。
けっこう動いてますよね。
ここが、今回いちばん驚いたところです。
改定の前から、毎月4,000円以上ふつうに上下している。
そこに「+2.03%」が乗ってくる。
そりゃ、見分けがつかないわけです。
もとの揺れのほうが大きいので。
「実感がない」のは気のせいじゃなかった。
見分けのつかない形で入ってくるからでした。
ちなみに、3月がなぜ低かったのか。
……分かりません。
もらっている本人が説明できないんです(笑)。
明細には金額しか書いていないので。
「大体4万くらい」で暮らしていた

私はこの手当を「大体4万くらいかな」と思って働いています。
ちゃんと数えたことは、一度もありませんでした。
で、8か月分を並べて計算してみたら。
1〜6月の平均が40,936.7円。
……当たってました。
私の体感、けっこう優秀じゃないですか。
と、ひとしきり喜んだあとで気づきました。
私は上下に気づいていなかったわけじゃない。
「4万くらい」という丸めた数字で暮らしていたんです。
だとしたら、答えは簡単でした。
数百円から数千円の増減は、「4万くらい」の中に消えます。
私の丸めのほうが、改定より大きかった。
逆に言うと。
1万円ズレたら、さすがに気づきます。
8月の「補助金」を調べてみた
8月の処遇改善手当は51,400円でした。
1〜6月の平均と比べて+10,463円です。
これは、さすがに分かりました。
そのうえで、別枠であの56,300円です。
職場からの案内は、数行だけでした。
名前は「処遇改善補助金」。
1回限りで、対象の職員に支給される。
明細に「補助金」と書いてあるので確認してください。
それだけです。
名前は届いた。
お金も届いた。
なのに、中身にたどり着く手がかりだけが無い。
気になって、あとから調べました。
行き着いたのは、報酬改定を待たずに始まった国の事業でした。
通知に、こう書いてあります。
報酬改定の時期を待たず、人材流出を防ぐための緊急的対応として、賃上げ・職場環境改善の支援を行う
6月の改定まで、待っていられなかったんですね。
その穴を埋めるための、つなぎのお金でした。
実施するのは都道府県です。
北海道が事業者に払ったのは、7月28日。
私の明細に出たのが、8月の支給分。
この日付を見つけたとき、思わず声が出ました。
手元の「補助金」の行と、北海道のお知らせの日付。
別々のものだと思っていた2つが、いきなりつながった。
制度の話って、いつも遠いところで動いています。
会議があって、決まって、通知が出て。
私にはずっと、テレビの中の出来事でした。
それが、うちの明細の一行まで下りてきていた。
そのことに、いま初めて気づいたわけです。
7月28日に事業所へ届いたお金が、8月に私のところへ来た。
そういう流れだったのか、と。

ただ、断定はしません。
あの56,300円がその事業のものだという証拠を、私は持っていません。
時期と話が合う、というところまでです。
「1回限り」というのも、要綱には書かれていませんでした。
職場の判断で1回にまとめたのかもしれません。
そして、調べていていちばん驚いたのは、そこではありませんでした。
要綱に、こんな定めがあったんです。
職員から聞かれたら、書面などで分かりやすく答えること。
……聞いていいことだったんですね。
それを知らずに、ひとりで明細をにらんでいました。
同じ制度でも、職場が変われば形が変わる

前の職場では、処遇改善の払い方がまったく違いました。
毎月は固定額。
そのうえで7月と1月に、特別手当としてまとめて出る形でした。
今の職場は、毎月の額そのものが動きます。
前の職場は毎月フラットで、年2回どんと来る。
同じ制度です。
でも、明細の見え方はまるで違いました。
だから、この記事の表は「介護職の明細」ではありません。
「私の職場の明細」です。
同じ月に、まったく違う額の人がたくさんいるはずなので。
処遇改善の形は、事業所ごとに違う。
私はそれを、仕方ないと思っています。
怒ってもいないし、諦めてもいない。
そういうものだ、というだけです。
で、上がっているのか
2014年に働き出してから今まで。
私は「順調に上がっている」と感じています。
「介護は給料が上がらない」と、よく言われますよね。
私の実感は、そこだけ少し違うんです。
大きかったのは2020年4月でした。
入社したときは契約社員でした。
そのタイミングで一般職員になり、相談員も兼務することに。
ここで基本給が上がりました。
賞与も、夏と冬それぞれ1か月から、それぞれ1.5か月に。
金額は書きませんが、暮らしの感じは変わりました。
ほかの業界の年収や、年代別の平均年収のニュースも目に入ります。
それと比べたら、介護は低いのかもしれません。
でも私は、あまり気にしないようにしています。
中央値で見ていない記事も多いです。
金額だけを切り抜いた報道も多い。
だから今回は、自分の明細を並べるだけにしました。
私には、働けなかった期間が長くありました。
だから、働けるだけありがたいと思っています。
朝、決まった時間に家を出る。
行く場所がある。
そのこと自体が、ずっと当たり前ではありませんでした。
頂けるだけありがたい、とも。
これは「安くていい」という話ではありません。
私の出発点が、そこにあるというだけです。
制度が変わったとき、それが明細のどこに出るのか。
見ようとしないと、たぶん一生分かりません。
来年の8月も、また同じ表を作ってみます。
そのときは補助金のことも、ちゃんと聞いてみようと思います。
参考にした資料
この記事で書いた制度の話は、すべて公的な資料で確かめたものです。
気になった方は、こちらをどうぞ。
- 介護職員の処遇改善:補助金の申請方法・申請様式(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/subsidy.html - 令和7年度 介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業の実施について(実施要綱・引用したのはこの通知)
https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/download/3_R7_kaizenshienjigyou_jisshi.pdf - 介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業(北海道/事業者への支払日)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/khf/246747.html - 介護保険最新情報 Vol.1475(対象職種に生活相談員が明記されている事務連絡)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/1/3/0/9/7/7/7/7/_/介護保険最新情報Vol1475.pdf - 令和8年厚生労働省告示第87号(+2.03%の改定の根拠)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675895.pdf - 令和8年度介護報酬改定の概要(改定率の内訳)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675936.pdf - 令和8年度介護報酬改定について(厚生労働省の掲載ページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00073.html - 介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版/支給時期と対象職種)
https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/download/7_Q&A_shoguukaizen_ver1.pdf - 処遇改善加算の実務通知(老発0313第6号)
https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/download/6_tsuuchi_kihontekikangaekata_jimushoritejun.pdf - 令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(賃金改善のやり方の割合)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/dl/r06gaiyou.pdf

